2009年07月08日

新しい世界へ。

    良 寛 の 恋  パート⑤

 ★流浪への旅たち

 良寛が出家をして光照寺で修行をしたのは4年間だった。
彼は此処で生涯を終わらせる気はなかったのか。
何故なら良寛は国仙の人徳を慕い、弟子として一緒に旅立つのである。
それはまさに彼にとっては、広大な世界への飛翔でもあったろう、と。

生まれて初めて故郷を旅立った彼は、備中の玉島にある円通寺へむかった。
このとき、良寛は紗弥(しゃみ)から紗門〈剃髪し悟りを求める修行者のことで出家者の総称〉になった。
ようやく国仙によって一人前の僧侶となった。
そして円通寺に到着してみると、思いがけないほど厳しい現実が待ち受けていた。
其の状況は晩年の彼の漢詩で解る。

「わしが円通寺におったのは
 なん年間じゃったかな
 ちょっと賑やかな町じゃったが
 知ってる顔は一つもなし
 着物も持たず食物もろくになし
 洗濯をすませては托鉢に出たものさ
 昔の先達が言い残したとおり
 貧乏がいやでは坊主になれぬでのう
<東郷 豊治の読み下し>

 新入りの良寛の役目は、鐘つきと便所掃除だった。
生涯で初めて親元を離れて苦労したのである。

 この頃から良寛の放浪癖が始まった、しかしどの辺りを放浪したかは、はっきりとした証拠がない。
彼が円通寺にきて12年の歳月が流れた、68歳で国仙が亡くなると旅にでた、ここにはもう良寛を引き止めるものは何もなかった。

今日の花






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