宮様からのお誘い

「長い間姿を見せなかったのね」と侍女を通じて言わせると、「用事もなくお伺いしたら、図々しいのではと遠慮しておりました、あの後亡き宮様(為尊親王)の代わりとして現在は師宮様(敦道親王・為尊親王の弟)にお仕えしております。」と語るのです。
敦道親王は兄より四歳年下で現在二十三歳、和泉は二十六歳ぐらいで和泉の方が年上だった、それで童の用事は何かしら。

その宮様が「何時もあの方の(和泉式部)所に伺うのか」とお聞きになるので、私が「参っております」と申し上げると、「では、これを持って行ってどうご覧になるか、差し上げなさい」とおっしゃりました。
童はそう説明しながら橘の花を差し出しました、それを見てわたしは「昔の人の」と言う古い歌を思い浮かべました。

ようやく童は本題に入り敦道親王からの、お誘いメッセージを伝えました。
当時とても有名な歌「五月待つ、花橘の香をかげば、昔の人の袖の香ぞする」をなぞったのでした。
平安時代の人は、お香を着ているものに焚き染めていました、それが花橘が多かったみたい。

敦道親王はこの問いに和泉がどんな答えを出すのか知りたかったのです。
和泉はそれに対して素晴らしい歌を返しました。   次回へ。




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